3/10 18:40 UP!
第18話 スイスで覚えた、信用は静かに作られること。
チューリッヒの Bahnhofstrasse(バーンホフ通り)。
高級ブランドの店が並ぶ通りで、
時計店に入った。
店内は静かで、
ガラスケースの中に時計が並んでいる。
ロレックスやパテックフィリップ。
値札は出ていない。
店員は50代くらいの男性。
日本から来たと言うと、
少しだけ笑った。
「時計を見る?」
いくつか見せてもらったあと、
ひとつの時計を手渡された。
かなり高いモデルだった。
値段を聞くと、
彼は言った。
「それは問題じゃない」
そしてこう続けた。
「この時計を
長く使う人かどうか」
スイスの時計店では、
すぐに売らないこともある。
理由は、
ブランドを守るため。
買える人より、
持つべき人を選ぶ。
その考え方は、
妙に経営に似ていると思った。
売上だけを見れば、
誰にでも売るほうがいい。
でも、
信用はそれで壊れる。
経営者の人と話すと、
似たことをよく聞く。
「長く付き合える人かどうか」
女風の現場でも、
すぐに距離を詰めない。
信頼は、
静かに作る。
スイスで見たのは、
信用は
急いで作るものじゃない
ということだった。
たけと




