昔の俺って、本当にしょうもなかった。
新商品が出るたびに「買わなきゃ死ぬ病」みたいになってて、ハイブランドや高級車を買い漁っては、自分を盛るための装備だと思い込んでたんだよね。

今思えばアレ、ただの虚勢。
中身スカスカなのに外側だけフルアーマー。
もはや人間じゃなくて見栄のマネキンだった。

でも今はさ、価値観がひっくり返った。
興味がゼロになったわけじゃないけど、
ある物大事にしたほうが強くね？って気づいた。
ブランドより耐久性、流行より寿命。
昔の俺が聞いたら泣いてる。

その変化って接客にもちゃんと出てるんだよね。
前まではどうしたら指名が増えるセラピストになれるんだろうって、そればっかり考えて施術してた。

でも今はまず、
「このお客様は何に悩んでるんだろう」
「どんな時間を求めて来てくれたんだろう」
そこを丁寧に聞くようになった。

そのうえで、
それは無理にしなくても大丈夫ですよって、必要のないことはちゃんと正直に伝えられるようになったんだよね。

だって、本当に必要なものだけ選んでもらったほうが、お客様の満足って長く続くし、帰るときの気持ちも軽くなるから。

そして気づいたことがひとつあって。
見栄じゃなく誠意で向き合った瞬間、お客様の表情って本当に変わるんだよね。
ふっと安心したみたいに柔らかくなる。

その変化を見るたび、
あぁ、この仕事続けてよかったなって思う。