女性専用風俗　東京秘密基地本店　（出張専門） | 光を失った人 ～ 闇の狼 ～

この作品を観たとき、
胸の奥に重く残ったのは、
“光に居場所を失った人たちの物語”でした。


”ターミナル・リスト ～ 闇の狼 ～”を観ました。
多くの人は、「正義＝他者を救うもの」
と信じて出発しますが、ベンもそうでした。
彼の中には「仲間を守る」「国を守る」という
明確な正義がありました。
戦場での彼らは、
互いの痛みを知る“光の側”にいました。
「俺たちは同じ地獄を見た」――
それは誓いのようで、救いのようでもありました。
けれど、戦争が終わっても
地獄は終わらなかったのです。
国家や組織は、彼らの忠誠を
一つの部品のように扱い、
都合の悪い真実は、
静かに消されていきました。
ベンの中に芽生えたのは、
「信じるほど、使い捨てられる」
という現実への失望でした。

ベンとハバフォードの分かれ道は、
まさにこの“痛みの扱い方”にありました。
ハバフォードは、
痛みを切り捨てて合理を選びました。
一方、ベンは、
痛みを抱えたまま歩くことを選びました。
その違いが、のちに人生そのものの
分岐をつくります。
グランドブランチの面接で、
ベンに問われたのは「忠誠」ではなく、
“痛みへの耐性”でした。
面接のやりとりは、
「光が差さない世界でも、
自分を見失わずに立てるか？」
という問いだったように感じます。
正義の理屈では回らない現実がある。
誰かが引き受けなければ、
秩序も国も崩れてしまう。
ベンはその冷たい理屈を
理解してしまったのです。
「自分が汚れることで、誰かが生きられるなら」
そう考えることが、彼なりの“責任”であり、
“祈り”でもあったのかもしれません。
けれどその瞬間、
彼は一つの痛みを手放しかけていた。
もう感じなくてもいい痛み、
もう悩まなくてもいい正しさ。
それは国家という巨大な合理の中で、
人の心を鈍らせていく
静かな麻酔のようでした。
それでも――
ベンはその麻酔に完全には屈しなかった。
“世界のため”という名の下で、
仲間の顔を忘れることだけはできなかった。
それが彼にとって、
微かな抵抗であり、
人としての最後の防波堤
だったのだと思います。
その痛みを抱えたまま歩いたからこそ、
本編『ターミナルリスト』でのベンの行動には、
“冷徹な任務”には見えない温度が宿っていました。
病を抱えた兵士を前に、
彼が「死なせてあげよう」と思えたのは、
痛みを失っていたからではなく――
痛みを感じ続けていたからだと思います。
苦しむ仲間の痛みと、
生かしてしまう自分の痛み。
その二つの狭間で、
彼は“慈悲と贖罪の混ざった決断”をした。
それが、ベンという人間の本質。

この構造は、現代社会にも重なります。
理不尽な環境の中で、
“痛みを抱えながら誠実に立とうとする人”と、
“痛みを感じないように合理化する人”がいる。
ベンは前者。
壊れてもまだ、光の温度を覚えている人。
ハバフォードは後者。
効率と成果で心を覆ってしまった人。
どちらも「生き延び方」ではあるけれど、
どちらが“人としての再生”に近いかは、
きっと観る側の価値観に委ねられている。
光に居場所を失っても、
痛みを感じる限り、
人はまだ「人間」でいられる。
僕はそう信じたいと思います。



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